2人は幸せになりたいけれど、その幸せは「一緒にいること」とは限らない

 

7曲目の「真昼の月」は、どんなコンセプトですか?

 

エミル:「Talk to」という曲が8曲目にあるのですが、「真昼の月」はその曲と対になっています。 実は「真昼の月」と「Talk to」は一つの曲だったんですよ。でも1曲としては広がりすぎてしまったので、分けたんです。歌詞で根本的に言っていることは同じで、「再会」がテーマになっています。「真昼の月」ではそのテーマを現実的に書いて、「Talk to」は、幻想的に書かれています。

わか:「シュトラスブールの雨傘」は、全部通して聴いてみると、実は繋がっている部分があるんですよ。「真昼の月」と「Talk to」は、言葉だけじゃなく、コードなど音の部分でも繋がりがあります。

 

「真昼の月」と「Talk to」はもともと同じ曲だったというのは面白いですね。そして9曲目に「最後の物たちの国で」が入ってきます。

 

エミル:「rainy rainy」で雨が降って、街の全てが流されてしまいました。そして「Apart of your world」のふたりが、自分たちが住んでいた場所を出て、行くべき場所へ向かいます。

“夏に永遠に歩いている” というテーマがあり、イントロを5分間演奏することで、距離を表現しています。
「Talk to」では、再会した2人がボートに乗ってるんです。2人は、幸せになろうとしています。だけどその幸せは、「一緒にいること」ではないかもしれないんです。「最後の物たちの国で」は、”自分たちが行くべき場所へ行かないとね” というメッセージを込めました。

 

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そしてラストの曲、「美しい時間」。

 

エミル:この曲は、アルバムの中で一番最後に完成しました。アルバムを通して、一番言いたかったオチを込めたんです。”別れてしまう” とわかっている状態の中で、「例えばもしも言葉がなければ、うまくいったこともあったのだろう」ということを歌っています。「Talk」のコンセプトより、もう一歩真理に近づいた状態ですね。

恋人同士は、出会ったときは幸せでしょう。でも時がたつと出会った頃の思いも、”忘れてしまうものだね” と。

 

 

"これでよかったんだ" と認めてしまうことの切なさ

 

「シュトラスブールの雨傘」はハッピーエンドなんでしょうか?

 

エミル:”ハッピーエンドになってしまった” という感覚が近いです。例えば別れてしまった恋人に対して、”このままじゃうまくいかなかったから、これでよかったんだ” と認めて、別々の場所へ向かう……。それを認めてしまう切なさがあるけれど、結果的にはハッピーエンドなんです。

わか:選択肢がいくつかある中、”どちらに転んでも幸せになれてしまう無常さ” が描かれています。

 

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「ハッピーエンドじゃないのに、ハッピーエンドになってしまっている」という世界観なんですね。

 

エミル:そうですね。それは作品の中で狙って表現したかったことです。

わか:みんな死ぬときに、どんな生き方をしても、「なんだかんだいい人生だったな」と思えてしまうと思うんですよ。それは、どこか無常を感じるんですけど。でもそれがあるから、「どうやって生きようか」と考えることができるんですよね。

 

 

アートワークとレコ発「Room」について

 

アートワークについても聞かせてください。「シュトラスブールの雨傘」のジャケットは、イラストレーターの永井健一さんが描かれていますね。

 

わか:僕がずっと永井さんのファンで、今回オファーさせていただきました。筋肉少女帯のデザインなどもやっていらっしゃる方で、いつか頼みたいと考えていたのですが、思ったより早く実現できて光栄です。

「Room」というコンセプトのビジュアルは、自分たちで考えて表現しました。僕が普段からお世話になっている場所で撮影をしたんです。

僕たちは、バンド活動は音だけで表現するものではないと考えています。アートワークなど、全部通して自分たちを表現したいんです。

エミル:僕たちは、たまたまギターを持ってバンドをやっているのですが、表現したいことは、もっと全般的なことなんです。

 

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「シュトラスブールの雨傘」

 

7月6日には下北沢シェルターでレコ発を開催されますね。共演は割礼とドミコの2組です。

 

わか割礼はもともと、僕がファンでした。ドミコは対バンしたことがあり、たまに飲みにいく仲だったんです。2組ともいつか一緒にやりたいと思っていたんですよ。この組み合わせは、我ながらセンスがあるなと思うんですけど(笑)。

今回のイベントは自主企画というよりは、「Room」というコンセプトの講演なんです。「Room」と普段のライブは、ベクトルが全く違うんですよね。対バンが多いライブをしていると、持ち時間が制限されます。そこでsheeploreが、誤解されてしまうことがあるんじゃないかと悩んでいた時期があったんですよね。でも、全く違うものとして表現するようにしたんです。普段のライブはsheeploreのショート・バージョン、「Room」は本編というイメージですね。

 

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7月6日、下北沢シェルターにて「Room」を開催

 

7月6日の下北沢シェルターで「Room」の集大成を見せたい

 

「Room」を終えたあとのことは、すでに考えていらっしゃいますか?

 

エミル:2017年に向けて、次のコンセプトを発表できるように準備します。頭の中にはすでにコンセプトがあるんです。もうずっと、そのことばかり考えているので。楽しみにしていてほしいです。

わか:最後に話が変わりますが、僕は楠本まきがすごく好きなんです。実は、楠本まきの「KISSxxxx」にエミルくんが実際に登場するんですよ。

 

え!? それって、どういう……。

 

エミル:たしか親が楠本まきさんと知り合いで、近くに住んでいたみたいなんです。作品には家族で登場しています(笑)。

わか:「Room」の限られた世界観は、カノンとかめのちゃんのイメージとリンクする部分があるかもしれないです。

エミル:意識していなかったけれど、確かに「Room」は楠本まき感があるかもしれません。面白いですね。楠本まきさんの作品が好きな方は、ぜひ「シュトラスブールの雨傘」も聴いてみてください。

 

最後に驚きの事実を知りましたが、今日はありがとうございました。 「シュトラスブールの雨傘」のリリース、そして7月6日の下北沢シェルターでの「Room」を楽しみにしています。

 

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関連リンク
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