何かを作ることは、ずっと楽しいと感じられる。

 

01

 

スヤマさんはとてもギターがうまいですが、一日どのくらい練習しているんですか?

 

練習は、一度もきちんとしたことがないんですよ。ただ家でごろんとしながら、ギターをつま弾いています。PCの前にいるときに持っているとか、それだけですね。ギターを始めた頃は、四六時中ギターのことを考えていました。「この押さえ方で弾くとどんなコードなんだろう」とか、「この2本の弦が一緒になると、どんな聞こえ方なのだろう」とか。そんなことばかり考えていました。常に触っていることが大事ですね。好きこそものの上手なれです。

 

コードフェチなんですよ。コードは、たとえば”ハイのA”と”ローのA”とではまったく違います。僕は”ローのA”が好きなのですが。弾く場所によって、気持ちがよいポイントがあります。そのポイントを、快感で探っていくのです。弾いた時の気持ちよさは、かなり大事にしています。

 

スヤマさんはエフェクターも作られますよね。

 

エフェクター作りは独学で学びました。インターネットを見る、わからないときは作っている先輩に教えてもらうなどして、作れるようになりました。僕は手先が器用だと思うので、エフェクター作りやギターを弾くことが向いていると思います。昔は漫画を描いていたこともあるんですよ。小中学生の頃、弟と一緒にジョジョのコピー漫画を描いたこともありました。レゴブロックとかもすごく好きでしたね。

 

何か作ったりすることが好きなんです。楽しいと思うことが、それぐらいという気もします。今は少しずつ他にも楽しいことが出来てきましたが、何かを作ることが自分のすべてだと、基本的に思っていますね。

 

Plot Scrapsの曲は難しいタイトルが多いですが、どうやって決めているんですか。

 

曲やアルバムって、あてはまる言葉は一つではないと考えています。たとえば、「アムニージア」という曲は、最初は「命乞い」という仮タイトルがついていました。色々なパターンを考えます。タイトルは、あまりありきたりなものにはしたくないと思っていて。基本的にあまのじゃくなんですよ。みんながやっていることとは、別のことをやりたくなってしまいます。なので少し変わったものを選んでしまいますね。でもふさわしいと感じたものがありきたりな言葉だった場合は、もちろんそれを選びます。例えば「涙」とか(笑)。ふさわしければありきたりでも関係ないですね。

 

ドイツ語がすごく好きです。発音した感じや字面がとてもよくて、自分の中ですごくしっくりきます。いつかドイツに行ってみたいですね。「Lei chen schaen dung」もそうですが、バイオレンスな言葉に惹かれることがあります。「Dysmorphophilia」という曲があるのですが、暴力的なタイトルですよね。聴いてみると、優しい質感なのですが。曲が優しいと、タイトルが暴力的になることもあるかもしれませんね。多分、綺麗なものだけだと信用できないのかもしれないです。みんな直視しなかったり隠したりするけど、実際生きていると醜いことのほうが多いと思いますし。わからないですが、無意識にバランスを取っているのかもしれないです。

 

1で10感じられるということ

 

03

 

映画や小説はどんなものがお好きですか?

 

スタンリー・キューブリックの作品がすごく好きです。白黒時代から遡って観ているくらい。あとは、リン・ラムジーの作品も好きですね。

 

小説は、村上春樹やフランツ・カフカ、宮沢賢治などを読みます。「本をたくさん読んでそうだね」とよく言われるのですが、そこまで読んでいるわけではないのですよね。映画も同じで、基本的にそこまでたくさん知っているわけではないです。好きになった作家や監督にとことんのめり込んでしまう感じですね。

 

僕は一つのことに対して、10、20、時には100くらい、感じることができると自分では思っています。1で1だけしか感じられない人もいると思うんですけど。いろんなことを考えてしまうんですよね。文章の一説でも、「この表現がいいな」「なぜこうしたのか」とか。「単語の選び方」とか「、」の位置とか個数とか。たったそれだけでも感じられることはキリがないです。

 

好きな作品に影響されて曲を作ることはありますか?

 

あまり直接的にはないと思います。というのも、創作物だけでなく、生きていて感じたこと全てが楽曲のインスピレーションになっているので。それよりも、どこにでもある外の景色から影響されることがありますね。元来そのような感じなので、小さい頃からいろんなものを作っていたのかもしれないです。おそらく、月並みな言い方ですが感受性が豊かなんだと思います。

 

感受性が豊かなのは、創作面では有用ですがデメリットがあるのかなと思います。誰も気にしないようなことを気にしたりして、ずっと悩んでいたりすることもありました。

 

Plot Scrapsはリリースをするスパンが短いですが、日頃からたくさんの曲を作られているのでしょうか。

 

移動をしながら頭の中で作ってしまうこともあります。「トーテンクロイツ」という曲は、新幹線の中で歌詞をすべて書きました。霧が立ち込めている場所があって、それを見て書きました。生きていること全てが曲になっています。

 

アルバムをフリーダウンロードでリリースしたこともありますね。

 

2015年に「(censored)Blok」という10曲入りのアルバムを作りました。これは今でもすべてフリーダウンロードすることが可能です。このアルバムをリリースする前に、最初に条件を作ったんですよ。まず、曲数は10曲以上にすること。なぜかというと、5曲くらいはやっているバンドがいたんですよ。10曲となると、少なくとも身近にはいなかったので。やるなら同じでなくて、少しはインパクトが欲しいかなと。

 

そしてワンクリックでダウンロード出来ることにもこだわりました。意外とみんなこだわっていないのですが、絶対にやると決めていました。Bandcampなどでやっているバンドもいると思うのですが、ダウンロードにたどり着くまでの手間を与えたくなかったのですよね。1ステップ増えてしまうことで「やっぱりいいや」となってしまう言い訳をなくしたかったのです。「徹底的に気軽に、ワンクリックで10曲ダウンロード」にこだわりました。このアルバムはDrのもぐが加入する前から制作していて、自分が全て演奏している曲もあるんです。制作期間の記憶がほぼなくて、数か月ひたすら没頭していましたね。多分ちょっと頭おかしくなってたと思います。もう二度とこんなリリースはできないと思います(笑)。